空と海との境界線がぼやけて視界のすべてが青に染まる。眼下には幾重にも色が重なるサンゴ礁の海が広がり、背後には緑深い牧草地が続く。
市街地の喧騒から遠く離れたこの場所には、ただ風の音と、圧倒的な色彩だけがある。平久保崎灯台とはそういうところである。
岬の先端に佇む白い灯台は、青い海とのコントラストだけで絵になる。また、ビーチの波打ち際からでは決して見ることのできない、海中の地形までも透かして見せる俯瞰の景色。これこそが、平久保崎灯台の魅力なのだと思う。
灯台向かいの岩場からはさらに高い視点から景色を眺めることができる、柵など何もないので慎重に。
灯台への道は特に慎重に運転が必要です。
市街地から車で約1時間。平久保崎への道のりは、単なる移動ではなくドライブテクニックとマナーが試される場でもある。
まず心得ておきたいのは、灯台手前の牧草地エリアにある「道路に埋まる鉄の格子(キャトルグリッド)」の存在だ。
牛の脱走を防ぐために道路に埋め込まれた格子状の溝だが、これに勢いよく突っ込むと凄まじい衝撃と音が走る。同乗者を不安にさせないためにも、手前でしっかりと減速し、ゆっくりと通過するのがスマートな運転だ。
灯台へ続く最後のアプローチは道幅が狭く、すれ違いが困難な箇所も多い。景色に見惚れた対向車や、逆に帰りを急ぐ車がスピードを出して坂を下ってくることがある。カーブの先が見えない場所では、常に「来るかもしれない」と予測してキープレフトを保つこと。
最も頭を悩ませるのが駐車場問題だ。観光客の増加に対し、駐車スペースのキャパシティが追いついていない。夏場に限らず、冬場であっても空き待ちの列ができることは珍しくない。
無理な路駐は論外だが、もし満車で列が動かないようなら、潔く時間をずらす判断力も必要になる。
はっきり言ってしまうと、確かに眺めはいいが往復2時間をかけて灯台だけを見て帰るのはあまりにもったいない。というより、それだけを目的にするにはコストパフォーマンスが悪すぎる。北部の本当の魅力は、手つかずの自然が残るエリア全体を「面」で遊ぶことにある。
例えば、行列必至の人気店「明石食堂」。昼時に行けば1時間待ちは当たり前だ。賢い旅人は、まず店でウェイティングボードに名前を書き、待ち時間を利用してさらに北の平久保崎灯台まで車を走らせる。戻ってくる頃にはちょうど良い時間になっているだろう(ただし、遅れすぎて呼び出しを過ぎないよう注意が必要だ)。
もし食いそびれるリスクを減らしたいなら、明石海岸や牛糞ビーチ、明石共同売店などが時間つぶしにオススメ。
北部には、ガイドブックの小さな枠には収まりきらない、静かで美しい場所が点在している。灯台を折り返し地点として、自分だけの地図を描くようにドライブを楽しんでほしい。
こうした北部特有の時間の流れに浸るなら、市街地のホテルに戻らず、このエリアに宿をとるのも一つの手だ。観光客が去った後の静寂、漆黒の空に広がる星、そして朝一番の海の色。それは「泊まる」という選択をした者だけが得られる特権だ。
気ままなドライブをするならレンタカーは早めに押さえる必要があります。今でも石垣はレンタカー不足。
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