亜熱帯の森を切り裂く一本の道を進むと、ふいに視界が開け、白亜の建築物が姿を現す。聞こえるのは生き物の気配と木々のざわめき、遠くで響く波音だけ。ここでは「静寂」こそが最大の贅沢だ。
地図にはある。しかし、地元に住む私たちでさえ、その本当の姿を知る者は少ない。石垣島の北西部、米原の森にひっそりと佇む「JUSANDI(ユサンディ)」。ここは単なる高級リゾートではない。島と一体化するための、隠された聖域だ。
石垣島には近年、プライベートヴィラを謳う宿が増えた。しかし、JUSANDIはそのどれとも次元が異なる。あえて断言するなら、ここが現在の石垣島におけるラグジュアリーの頂点だ。
ラグジュアリーを謳うリゾートホテルは人で溢れかえっているし、他のプライベートヴィラではここほどの「本物のラグジュアリー」は味わえない。
なぜこれほど特別な場所が、あまり語られないのか。理由はシンプルだ。地元の新聞に広告が出ることもなければ、住民の結婚式場として使われることもない。私たちの生活圏の視界にも入らない為話題にならないのだ。
そして6,000坪という広大な敷地に、客室はわずか5棟。オールスイートのヴィラは、それぞれが独立した森の中にあり、互いの気配を感じることはない。目の前には手つかずのビーチが広がり、背後には深い森。島の自然を切り取って所有するような感覚。これほどの没入感と、それを支える完璧なホスピタリティは、島内の他の追随を許さない。
JUSANDIに籠るのも良いが、この米原エリアには、知る人ぞ知るディープな楽しみ方がある。高級リゾートの門を出て、島の素顔に触れる作法を紹介しよう。
米原周辺の道端には、無人の販売所が点在している。ここでの通貨は100円玉だ。季節になれば、濃厚な甘みの島バナナやパッションフルーツなどが無造作に並ぶ。高級なディナーの前に、採れたての熟れたフルーツを齧る。これぞ南の島のコントラストだ。
近くにあるジュース屋「ぱぱや」は外せない。おすすめは「ブレンドA」か「ブレンドB」。砂糖を一切使わず、フルーツとサトウキビの搾り汁だけで作られた味は、島のどこのジュースよりも私は美味しいと思っている。
そして、もし行列が途切れていたら、店のおばあさんと話してみてほしい。腰が痛い話から季節の移ろいまで、気さくな会話こそが旅のスパイスになる。運が良ければ、隣でおじいがサトウキビを絞っていたり、サトウキビのカスで海水を煮詰めて塩を作っている風景に出会えるだろう。
JUSANDIのプライベートビーチも美しいが、本気で魚とサンゴを見たいなら、近くの「米原ビーチ」へ行くべきだ。サンゴの隆盛ぶりと魚の多さは、島内でも別格。
また、有名な「青の洞窟」もすぐ近くだ。正直に言うと、イタリアのような「幻想的な青」を期待して行くと肩透かしを食らうかもしれない。だが、「海蝕洞探検」と割り切って行けば、内部の広さや陥没部から差し込む光の美しさに十分満足できる。
通常青の洞窟は何らかツアー参加が必要だが、ここの宿泊者であれば真横からエントリーできるため、HP通り潮が引いていれば歩いていけるし、シュノーケリング等で泳いでいっても難なくたどり着ける。泳げるなら俄然シュノーケリングで行くのがおすすめ。
石垣島にはもう一つ、超ハイスペックなヴィラ「セブンスターズリゾート石垣」がある。こちらも1日一組限定の素晴らしい宿だが、1点だけ決定的な違いがある。それは「プライベートビーチの事情」だ。
セブンスターズリゾートは1日一組限定だが、目の前の海は海岸線が長く、周辺には他のホテルやヴィラがある。そのため、ビーチに出たらすでに人がいるという状況があり得る。
一方、JUSANDIは地形上、他のホテルの利用客や観光客が入ってくる可能性はほぼゼロ。「自分たちだけの海」を確実に手に入れたいなら、JUSANDIに軍配が上がる。
米原エリアは市街地から遠く、夜になれば漆黒の闇に包まれる。だからこそ、JUSANDIに「泊まる」ことの意味がある。
観光客がレンタカーで市街地へ帰り、静けさを取り戻した夕暮れ時。ヴィラのテラスで、森が夜の呼吸を始める音を聞く。
夜は、光害の一切ない満天の星空を独占する。誰の目も気にせず、プールに浮かびながら宇宙を見上げる体験は、他では決して味わえない。
そして朝。鳥の声で目覚め、朝露に濡れた森の空気を肺いっぱいに吸い込む。
ここでの滞在は、単なる宿泊ではない。石垣島の自然の一部となり、自分自身をチューニングし直すための儀式だ。
この体験ができるのは、世界でたった5組だけ。予約が埋まる前に、あなたの場所を確保してほしい。
JUSANDIは隠れ家であるがゆえに、アクセスや周辺環境の把握が重要だ。
| 住所 | 沖縄県石垣市桴海470 |
|---|---|
| アクセス | 新石垣空港から車で約20〜30分(米原方面) |
| 周辺環境 | コンビニ等は皆無。必要なものは事前に市街地で購入を。 |
| 2026年の現況 | 海外富裕層からの注目も高まり、ハイシーズンの予約は困難になりつつある。早期の計画を推奨。 |
ガイドブックには載っていない、満潮時間を狙う理由や無料駐車場の場所など、リアルな攻略法。